活性炭入門 | 活性炭とは活性炭の特殊機能の付与
活性炭は微細孔を持っていますが、その微細孔は次のように分類されています。
細孔分布の測定方法が異なると分類は混乱しますが、
IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)が定義している分類を次に示します。
ミクロ孔 | 直径20Å以下の細孔-吸着に関与する |
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メソ孔 | 直径20~500Å細孔-吸着に関与する |
マクロ孔 | 直径500Å以上の細孔-吸着速度に関与する |
クラレでは、活性炭製造時に微細孔径及び細孔容積を調整することによって、
特殊機能を付与した高付加価値活性炭の製造を得意な技術としています。
分子篩炭
一般には気相での用途が多く、混在する数種の分子を活性炭層に通すことによって、分子を分離します。
空気分離用の分子篩炭は、細孔の入口を狹少化して酸素分子(3.9×2.8Å) と窒素分子(4.0×3.0Å)の吸着速度の差を利用して分離するものです。
世界でも、製造メーカーは数社しかなく、クラレはトップメーカーの一社です。
自動車キャニスター用活性炭
自動車又はガソリンスタンドより放散されるガソリン蒸気を活性炭で捕集し、自動車の走行中に取り入れる新鮮空気で脱着して燃焼させるシステムに使用されるものです。
この用途の活性炭は吸着-脱着を繰り返すため、それには独特の細孔分布を持たせます。
クラレは、国内で最も早くこの分野に着目し、技術開発の歴史も長く、質・量ともに国内トップメーカーの一社です。
溶剤回収用活性炭
これも上述の活性炭と同様、吸着-脱着を繰り返す工程に使用されるため、吸着量は多く、脱着にはそのエネルギーを少なくするため、溶剤毎に独特の細孔分布を持たせます。
更に、活性炭の触媒作用によって溶剤が変質しないように留意されます。
薬液再生可能脱色用活性炭
液相での脱色用活性炭には大きい細孔が必要です。
クラレでは、薬液(希水酸化ナトリウム溶液で脱着させた後、希塩酸で中和する)で再生可能にするために、より大きい細孔を持たせた活性炭「クラレコール®」GLCを生産しています。
添着活性炭
活性炭の吸着性に加えて、ある種の薬品とか金属を添着して独特の性能を持たせることができます。
添着物質の例として次のものがあります。
薬品 | 酸性、塩基性又はアルデヒドガスの吸着等 |
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金属 | 水中での抗菌性、エチレンの除去、有機物の酸化、脱臭等 |
セラミックスの混合 | 活性炭の着火防止 |
その他 |